性感染症(性病)
■主な性感染症と症状・治療法
病名原因初期症状治療法
梅毒 主に性交を通じて、トレポネーマパリダムという細菌によって感染する。 感染してから2〜3週間後に、男性では主に亀頭に、女性では性器や外陰部に直径1cmくらいの硬いしこりや無痛性の潰瘍ができ、大腿部の付け根のリンパ腺が腫れる。 早期治療ではマクロライド、テトラサイクリン、ペニシリンなどの抗生物質の注射を約2週間、内服を約1ヶ月ほど続けて完治することができる。
淋病 性交を通じて、淋菌という細菌によって感染する。 感染してから2〜7日後に、男性では排尿時に尿道の痛みがあり尿道口から粘着質でクリーム色の膿が出る。女性ではおりものが黄色っぽくなり多くなるが放尿時の痛みはほとんどないが、放置すると危険。 抗生物質の注射または内服薬で、1〜2週間ほどで完治することができる。
軟性下疳 性交を通じて、軟性下疳菌という細菌の感染による。 日本ではほとんど見られなくなった。 感染してから2〜5日後に、男性では包皮や亀頭、女性では外陰部に赤く盛上がった膿のある米粒大のできものができ、痛みがある。 抗生物質の内服薬や軟膏を患部に塗って、4〜6週間ほどで完治することができる。
鼠径リンパ肉芽腫
第四性病
性交を通じて、LGV型クラミジアという細菌の感染による。 感染してから1〜2週間後に病原体の侵入箇所に小さなおできができ、太ももの付け根のリンパ腺が腫れてくる。発疹の発生約1週間後、陰部がただれてくる。 第四性病と言われた病気だが、日本国内ではほとんど見られなくなった。 テトラサイクリンやサルファ剤などの抗生物質の服用で完治することができる。
陰部ヘルペス
性器ヘルペス
性交や母子感染で、単純ヘルペスウイルスによって感染する。 感染してから2〜7日後に、男性では陰茎・亀頭・陰のう・内股・肛門の部分に、女性では陰唇・膣・子宮頸部・肛門・内股に米粒大の赤い湿疹や水疱が多数出来る。それが、潰れると非常に強い痛みを伴う。 抗ウィルス剤の服用・注射・軟膏の塗布で10日程度で治るが、一度感染するとウイルスが神経の中に住み着き、再発する場合もある。
尖圭コンジローム 主に性交を通じて、ヒト乳頭腫ウイルスによって感染する。 感染してから数週間から2〜3ヶ月を経て、男性では陰茎・尿道口・陰嚢・肛門の周囲に、女性では大小陰部の内側・膣口・肛門の周囲に細長いイボ状の腫物が出来る。痛みはないが放っておくとさらに増殖し、一部が壊死し悪臭を発するようになったり、固まって白いカリフラワー状になることもある。 患部を電気メスなどで焼いたり、液体窒素で凍結させて取り除いたりする外科的療法と、患部に抗ガン剤軟膏を塗る薬物療法がある。
クラミジア感染症
クラミジア感染尿道炎
性器クラミジア
キス・性交などを通じて、クラミジアトラコマチスという細菌によって感染する。 感染してから3〜20日を経て、男性では排尿時に痛みや膿性分泌物が出る、女性では白い粘着質のおりものが増えるが自覚症状はほとんどないため気づかないことが多いが、放置しておくと不妊症・早産・流産の原因になるので注意が必要。 感染初期であれば、クラビットなどの抗生物質の服用で1〜2週間ほどで完治することができる。ただし、パートナーも感染している場合、ピンポン感染となるので一緒に治療する必要がある。
外陰部カンジダ症
カンジダ膣炎
カビの一種であるカンジダ菌が原因で発症するが、性交渉が無くても自然発症することがある。 感染してから1〜2週間後に、男性では尿道炎か亀頭部分が赤みをもち痒くなり、白苔状の炎症があらわれる。女性では外陰部が赤く腫れ痒みを伴い、表面に白色の被苔が付着する。 膣炎だけの場合には膣錠(膣に入れる)、外陰部にも炎症がある場合には塗り薬と併用で10日ほどで完治することができる。
膣トリコモナス
トリコモナス感染症
主に性交を通じて、トリコモナス原虫が膣に感染して発症する。 感染してから1〜2週間後に、女性では外子宮口に特有の黄緑色の泡沫分泌物が出る。膣の粘膜が赤く腫れ、発疹ができたりし、性交時の膣の痛みや少量の出血を起こすことがある。男性の場合は、尿道・前立腺などに寄生するが大部分は自覚症状はなく、尿道炎になるのはまれである。 男性は内服薬のみ。女性は、膣だけでなくその周囲臓器にも寄生するため、治療薬の全身投与が必要となる。約2週間ほどで完治することができる。
毛虱
ケジラミ刺咬症
性交・患者との直接接触・寝具や衣類の共用などにより、毛ジラミが陰毛に寄生することで発症する。 ケジラミが寄生してから1〜2週間後に、男女共に陰毛の根元の部分が猛烈に痒くなる。 これはケジラミが陰毛に卵を産み付けて繁殖し血を吸うためで、ケジラミは肉眼でも確認することが出来る。 陰毛を剃って、清潔にした上でオイラックスを擦り込むと早く退治できる。 剃らない場合は、薬局で購入可能な「スミスリンシャンプー」を用いるが、卵には効かないので孵化時期を想定し、1週間程度の間隔を空けて数回処置する。
B型肝炎 性交や輸血を通じて、B型肝炎ウイルスによって感染する。 感染してから多くは2〜3ケ月後に、体のだるさ・疲れ・不眠症・食欲不振・吐き気・微熱や下痢などを起こす。その後、右上腹部(肝臓周辺)に鈍い痛みと茶褐色の尿、目・肌・粘膜などに黄疸が現れる。 症状が進むと、肝硬変や肝臓がんを併発することもある。 薬物療法、安静療法、食事療法の3つが柱となる。薬物療法といっても特効薬はなく、栄養素の補給や肝細胞の働きを助ける薬が使われる。特異的な治療法はないが、多くの場合2ヶ月前後で治癒する。
後天性免疫不全症候群
AIDS(エイズ)
性交・オーラルセックス・輸血・注射針の共用などを通じて、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)によって感染する。母子感染もある。 感染してから1〜2週間後に、一過性の発熱・食欲不振・関節痛・リンパ節の腫れが見られる。 その後6〜8週目でHIV抗体検査結果で陽性になり、HIV感染が確定する。 それから無症状のまま経過し、平均して10年後に発病し、死に至る。 完全に治す方法は現在見つかっていない。ただし、エイズに合併する感染症を予防・治療することや、エイズウィルスとともに生きている人をケアすることには成功例がみられている。


ご意見等はこちらへ :
Copyright(c)2004 Kinta All rights reserved.